創立当初から、ずっと家族で営んできた丸正不動産。
創立22年目を迎え、創立者である父が会長、三女が社長を務めることとなり、
ひとつの大きな節目を迎えました。
「会長と社長」と同時に「父と娘」でもあるお二人に、
お仕事の話から家族の思い出話まで、
家族だからこそ普段あまり話さないお話をじっくり語っていただきました。
今まで積み重ねてきたお客様や家族との絆や歴史、
ここ丸正不動産ならではの魅力がありました。
- 三女
- 今日、母の誕生日なんですよ。孫にプレゼント貰って喜んでたね。
- 父
- そんな日にこのような機会を持てたことはありがたいです。
- 三女
- 家族で盛大にお祝いはしないんですよ。私たち三姉妹が全員で丸正不動産に携わっていることが最高の親孝行だって言ってくれてますし!(笑)
- 父
- そうですね。
- 三女
- 小さい頃、父がどんな仕事をしていたかは正直よく分かっていなかったんです。
テレビで見る不動産屋って、すごい金ピカで、ゴールドの指輪しているイメージだったんです。でも、父も父の職場の人も全然そういう感じではないし、不動産屋といっても全く別の不動産屋なんだ、と思っていました。
- 父
- 三女は天真爛漫で好奇心旺盛な子でしたね。長女は小さい頃からはっきりしている子だったのに対して、次女と三女はちょっとのんびりしていて。そういう風に育てたのは家内だと思うんですけどね。
私は休みでも働く一辺倒でしたね。そういう47年間です。
- 三女
- 父は毎週水曜日が休みで、水曜日は学校から帰って来たら父と遊ぶというイメージがありました。ですので、水曜日は自然と予定を入れないようにしていました。
- 父
- 家に帰って子供たちと遊ぶというのが、癒しの時間でしたね。
今日、こういう機会があることが分かっていましたので、昨日も走馬灯のように色々な思い出が浮かんできました。
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長女からのコメント
- 小さい頃は、父がお世話した物件がレストランになったら、そこに食べに連れて行ってくれたり、お家を買ってくださったご家族が共働きで、お子さんの預け先が決まるまで母がその子の保育園のお迎えをして、その子のお母さんのお迎えを待つ間、一緒に遊んだりしていました。
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次女からのコメント
- 休みの日もよく遊んでくれる父でした。
方眼紙に家の間取り図を描いて遊んでいました。水曜祝日を年始めにカレンダーで調べてましたね。
- 父
- 私はですね、夜学の高校で、それと同時に不動産にも携わっていました。
その夜学で家内とも一緒になりました。それで大学に入る時、入学金を用意するために「あずき相場」に手を出して、ハダカになったことがあるんです。
- 三女
- あずき相場って...(笑)その頃みんなそれにダマされてたんでしょ?米とか銀とかあずきとか...
- 父
- そう、私はあずきたったんですね。
- 三女
- でも、学校の先生になろうと思ってたんでしょう?
- 父
- そうです。でも当時私は28歳で、学校の先生やらせて貰うにも年齢制限がありますからね...不動産一本でいこうとなりました。
家内とは、夜学生のときに籍を入れたのですが、「夜学生であってもお前には働かせない」と格好いいこと言いながら、あずき相場でハダカになったら「明日から働いてきて」とか言って...
- 三女
- 母は看護師だったんですよ。
- 父
- はい、だから働いて貰っていました。そんなスタートですね。
- 三女
- その時父から見た不動産屋って、みんな新聞を読んで暇そうに見えてたんですって。だからこんな新聞を読んでてお給料貰えるならいいなと思って務めたのが、白楽の商店街の不動産屋さん。
- 父
- それが忙しい忙しい...。
でも働いていくうちに色々なお客様と出会い、誠心誠意働こうという気持ちになりました。そしてだんだん認めて貰えて、独立の話は何回かあったんです。まあ仕事はね、そういう時に限って重なるんですよね。そうすると切れ目がないですから、つい2、3年という時が流れちゃうんですよ。独立したのは26年目でした。
- 父
- バブル期なんかは、それこそ土地相場のあずきに似たようなものがあったんですよ。
でもその時は、値打ちがないようなものも、あるような感じになってしまうものですが、一般の方にはお売りしませんでした。自分があずきで経験していますので(笑)。
- 三女
- 私の主人のお父さんが、「よくバブルの時に手出さなかったですね」と言ったら、父が「いや、実はあずきで経験してて...もうそれで懲りちゃって、僕もそういうので失敗してるんですよ」って(笑)。
- 父
- そうですね、家内にあの時「お父さん、あれは授業料だね」と言われまして。その時の家内の一言が、私には響きますね。
- 三女
- 母は本当にポジティブで、どうにかいい方に改善していこうとするんです。ああしたら?こうしたら?って常日頃言うんですよ。
今の状況をそのまま肯定していくような。「悪いこと…よし!切り換え!いいようにいこう!」みたいな。そういうことを常に発信しているので、いい具合に回るきっかけになってると思いますね。
- 父
- 言われたらよく似てますよ三女は。
- 三女
- 鍛えられてますから、パパとママに!
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みわちゃんのコメント
- 初めてあずき相場の経験について知った時は、実はすごく驚きました。
え?こんなに真面目で誠実そうなお父さんなのにって。ユニークなお父さんだとは思ってましたが(笑)
仕事に対して慎重で必ず現場を確認してからお客様にご紹介する姿や、自分事として「いつも自分が購入するならの目線で物件調査をしている」という言葉からも丁寧さをいつも感じています。
ですから、バブル期にお金儲けに走らず、お客様のことを真摯に考えて対応したというのは、やっぱりな、と言いますか、私のイメージそのもので、会長の本領発揮ではないでしょうか?
あずき相場は…時代だったんですかね(笑)
なので、今だけでなく将来を見据えてその方々に正直に善し悪しをお話しするお父さんから学ぶことも多いです。
そして、その姿勢をしっかりと引き継いでいる友人(社長)。 2人の仕事の仕方を見ているととても頼もしくこれが丸正スタイル!!と思います。
- 三女
- 立ち上げメンバーは、父・母・おじいちゃん・長女の4人でした。
それで、5年経ってから次女と叔父が入って、私が入った13年前に長女が出産で数年抜けて…という感じで、ずっと家族経営ですね。立ち上げメンバーのおじいちゃんには福島から来て貰って、次女が入る5年間75歳くらいまで働いてくれました。
- 父
- 最初は「じゃあ手伝いにいくよ」と言われて、1週間くらい飾り付け程度で手伝ってくれるのかと思ったら、5年間もいてくれて...ありがたかったです。
- 三女
いま思い返してみれば、お父さん以外は元々、不動産屋に携わっていなかったんです。何十年も専業主婦をしていた母、長女も不動産に携わっていない、次女も幼稚園の先生だし、私もみわちゃんも事務職だし、おじも信用金庫に勤めていたので、他の不動産会社のカラーというものをみんな知らないんですよ。それが良かったのかもと思いますね。
丸正不動産に入って思ったことは、やるもやらないも自分次第なんだけど、やらない分は返ってくるってことですね。前いた会社は大手だったので、1つ1つに担当部門があったけれども、丸正不動産は自由度がある分、やるやらないは自分次第というのは感じたかな。
会社としての細々とした決まり事がないので、思い立ったらすぐに行動に移せるというのは小さい会社のいいところだと思います。
- 父
それを言えば、13年くらい前かな?正月の2日からみなさん休んでる時にできあがったお家にコタツとテレビを持ってその家の売り出しやったんです。
「正月から売り出しやるなんてどういうところだ?」って見に来てくださったお客様が買ってくださるわけですよね。正月の間に1棟2棟と買っていただいて。まあ、そうしないとやっていけない会社だったかもしれないんですけどね。
- 三女
- 父はそういうのが染みついているので、3年前とかでも父が先頭に立って売り出しとかをやっていてほかの業者さんが「社長いますか?」っていらして、「今売り出し現場なんです」って答えると「まだ売り出し行ってるの!っていくつよ?」って(笑)。父は完全に現場主義ですね。
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長女からのコメント
- 会社立ち上げ当初から手伝いましたが、家がそのまま会社になったみたいで、特に…何も変わらなかったかな?
ただ、3姉妹みんな嫁いだのですが、嫁いだ感がなく、そのまま今も昔も変わらぬ家族でいられるのは、
結婚20年目を迎えた今年考えると、逆に希有なことかな~と思います。
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次女からのコメント
- 家族で仕事をやっていると会話も増え、仲良くなりました。全てを伝えなくても感覚で伝わる部分があり、性格も分かっているので、不要な心配事が少なくて仕事もやりやすいです。
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みわちゃんのコメント
- 一般に家族経営と言えば、基盤が弱いと言いますか…、誰か一人が病気になったら対応が遅くなるとか…そんなイメージだと思います。ところが、丸正不動産の家族経営は全く逆なんです。
一人ひとりのプロフェッショナルとしての自覚が半端なくて、ここぞという時には総力戦。「チーム丸正」という感じです。
誰か欠けても必ず同じ様に対応フォローが出来る街の小さな不動産屋さんだからこそ、家族だからこそ、日ごろの会話がお客様の情報や物件の情報を共有できているんです。
だから全くの初めて不動産業界の私でも日々の会話が勉強になっています。
お母さんにいつも「苦手なことがあっても誰かが必ず出来るから大丈夫!!」と言われています。
安心してお客様対応できる環境だからこそ、お客様に安心して満足+リピート頂ける街の不動産屋さんなんだと、いつも感じながら働いています。
- 父
- 2ヶ月くらい前に、以前お世話させて頂いたお客様のひ孫の方が私のところに物件を探しに来てくださった事がありました。
そのお客様は3世代みなさん私から買って頂いて、今回4代目の方が探しに来てくださいました。そういう面ですね。
- 三女
確かに。よく不動産って賃貸以上に売買は1回売ったら終わりでしょって言われるんですよ。でも私が働き始めた頃から、「もうお父さんとは四十年来のつき合いなのよ」とか「私が生まれる前から知ってるんだ」とか、そういう方にお会いする機会が多いです。
あとは自分の親の代からお父さんにお世話になったという方が多いですね。お家探しでお若い方なので私がやり取りさせていただいてるんです。入社したときは「私よりつき合い長いんだ」とぽかんと思ってただけなんですけど、今はそれがつながって仕事させてもらってるんだなと思うようになりました。1回きりの仕事じゃないなって。
買うものは人生で1回なんですけど、そのつながりが全然売り切りで関係性が変わるっていう仕事じゃないなって。私も実感してます。
- 父
ですから本当にお客様はありがたいですね。
毎年カレンダーを作ってるんですけども、「ありがとう」というシリーズでこの21年間続けさせていただいてるんですね。
一期一会で本当にお客様に感謝ですよね。そうそうできることではないんですけども…こうやって次の代の方にいらしていただいて、本当にありがたい。
どこの不動産屋に行っても、まずモノはありますからね。決して私のところで生産させていただいてそれをご提供させていただくというものではないわけです。まあこの口が重いのが逆にお客様が落ち着いて聞いていただけるのかなあ、と。自分には特別な才能はないんですけども、ただ精一杯、その方の希望や心配事を請け負っていくという形で四十何年間続けさせていただいています。
- 三女
- 私たちが売っているものは自分たちのものじゃないので、大家さんにお金を出していただく、ご本人さまにお金を出していただくことなんです。そこを気持ちよく納得して出していただける、それが仲介屋だという気持ちでやってますね。だから、賃貸って売買と比べると金額は小さいんですけども、それでも同じくらいの思いでみなさんと関わろうとしています。
- 父
- 転機は三女が継いだことですね。
- 三女
父は女三姉妹なので、一代で終わるつもりだったんです。
立ち上げた当初、私がまだ高3でしたけど、別に継がせたいという話とかは一言もなかったです。
勤めていくうちに、続けることの大切さとすごさを感じました。
たまたま私に子どもがいないので、「継いでもいいな」と思っていました。長女と主人に話したら、「どうせなら早いほうがいいよ。父がまだ現役の時に継いじゃったほうがいっぱい勉強することがあると思うから。」と言ってくれました。あとは、私の友だちにお客様を紹介してもらった時に、「今後どうする?」って聞かれて、不安にさせたくなくて勝手に「いや、私が継ぐから。その新築アパートの20年後、30年後、ちゃんと面倒見ますから、安心してください。」って言ったんですよ。
それで、嘘もつきたくないし、父にそう思ってるんだけどって言ったら、「じゃあよし」って。
- 父
- よく手をあげてくれたなって思います。嬉しいです。
- 三女
- そんな感じ全然伝わらないけど!
- 父
- 今初めて言いました。(笑)
- 三女
- でも、私が短大を卒業する時の就職活動で、ちょうど父が独立して2~3年目だったんです。就活したくなくて「丸正さんで働かせてくれない?」って言ったんですよ。そしたら、「そんなに甘い考えでは受けられません。」って言われて。(笑)
私は安易に父の手伝いできるかなって思ったんだけど、断られることあるんだ!って思いましたね。だから、母が「前の会社には感謝しないと、こんなに使える子になってると思わなかった」って言われました(笑)。
- 父
- そう、あの時、受け入れなくてよかったですね。(笑)
お給料を貰ってこんなに育てて貰ったなんて本当に感謝ですね。
- 三女
- 社長だからどう変わったっていうのは全然なくて、父もいるからなのか重みを背負っている感じはないですし、目の前にあることをやっていこうと思っています。
つらいこともありますけど、10年続けても「まだまだやれることがある!」と思える仕事ってなかなかないと思えるくらい好きな仕事なので、私には合ってるんだと思います。
父も75歳になってこれだけ働いていて本当にすごいと思うし、父みたいにできたら続くと思います。
- 父
- こうやって皆さんに応援してもらって今まできてますんで、もうあとはこの子が好きなようにしてもらいたいです。不安もあるでしょうけども、あとは経験ですね。これからもよろしくお願いします。
- 三女
- 47年経験積んでる父から学べるだけ学ばさせてもらいます。
- 父
- 今日は家内の誕生日に21年間振り返ることができて、いいきっかけになりました。
ありがとうございます。
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長女からのコメント
- そもそも性格が似ているので、お客様に誠意を持って仕事をするスタイルの継承が自然とできているとおもいます。三女は素直なので、彼女の人生の中で学んだり感じたりしたことが、仕事のスタイルにも表れていると思うし、それがとても良いなと思っています。
気負いなく!なるようになります!
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次女からのコメント
- 父と三女は仕事のやり方もなんでもそっくり似ていますね。
三女が継ぐようになって、みんながもっと元気に前向きになった気がします!
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みわちゃんのコメント
- 今日、改めて思ったのですが、
家族経営か否か、ではなくて、もう丸正不動産の結束がすごい、ということかと。
同じ家族経営でもフランチャイズで大手の看板を掲げているようなところは、こうはいかないでしょうし、大手はどんなに親身になってくれる担当者でも会社の方針としての限界があるのでしょうし、丸正不動産は一生、あるいは世代を超えたお付き合いができていますよね。
きっと三女の跡を継ぎたい人も現れるのではないでしょうか?もしかして私の親戚だったりして(笑)
いや、私も全く浮くことがなく家族経営の一員をさせて頂いているんです。